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WHAT WE DO

私たち人類の生命は野外環境である農地で栽培される植物の生産活動により支えられています。今、地球温暖化などにより栽培適地が制約されるなか、人口増加に対応した食糧の増産は大きな課題となっています。岩手大学作物学研究室では、国内外の作物生産性の向上に貢献すべく、岩手の地からグローバルに研究を進めています。

逆転の発想:将来の大気中CO2濃度増加に適応した作物の品種選抜

地球規模でも大きな問題である大気中のCO2濃度は2010年に400ppmを超え、2050年までに600ppmになることが予測されています。大気中CO2濃度の上昇は、地球温暖化の原因の一つであり気候変動を拡大することから作物生産へのマイナスの影響が懸念されています。その一方、CO2濃度上昇そのものは植物の光合成の促進により生産性を高めるプラスの効果があります。本課題では進行している大気中のCO2濃度上昇のプラスの側面に着目し、その環境に適応できる品種を選抜するとともに関与する遺伝子の同定を目的としています.

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地球温暖化でも冷害はなくならない? イネの穂ばらみ期耐冷性の制御による冷害克服

地球温暖化が進行していても北日本ではイネの冷害が大きな問題であり続けています。これは地球温暖化といっても季節を通じて一様に気温が上昇するのではなく、イネの低温への感受性が高い夏(生殖成長期の中でも穂ばらみ期)の気温の上昇程度が他の季節に比べて小さいためです。耐冷性のさらなる向上を目指して、耐冷性を支配する遺伝子領域の特定をQTL解析やトランスクリプトーム解析などを組み合わせて実施しています。また、生育環境の違いが耐冷性の変動に及ぼす影響(特に幼穂形成以前の栄養成長期の履歴効果)についても試験を行っており、エピジェネティック視点からも研究を進めています。

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冬から始まるおコメ作り:初冬直播栽培の実用化に向けて

コメ作りの現場は担い手の高齢化が急速に進んでいる中、農家一人あたりの経営面積の規模拡大は避けて通れない状況です。イネの栽培で最も忙しい季節は春で、種まき、田植え、田んぼの耕起などが重なり、その作業の効率化が規模拡大のカギとなります。そこで、新たな作型として、忙しい春ではなく、前年初冬の雪が降る前に種まきを済ませることによって作業分散を実現する研究を進めています。

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野外群落環境における作物の遺伝子発現動態の解明

近年の目覚ましい分子生物学の発展により、植物の生命活動に関わる様々な遺伝子の同定や機能解明が進んでいます。しかし、作物が実際栽培される野外環境で、それらの遺伝子がどのように働き、生産性に貢献するのかについては不明な点が多く残されています。野外での遺伝子の応答性や生理現象を反映する遺伝子の同定を進め、遺伝子発現をバイオマーカーとした植物の状態や土壌などの診断技術に応用するための研究を進めています。

持続可能な農業のために:施肥利用効率の向上を目指した根系誘導技術の開発

​現在の食糧生産は、化学肥料に支えられているといっても過言ではありません。しかし、窒素肥料を中心とした多量の化学肥料は環境汚染の原因にもなり、さらに鉱石由来のカリウムやリン肥料は限られた資源であるため、可能な限り化学肥料を節減しながら、高い生産性を両立していく必要があります。根は植物が栄養素を取り込む重要な器官であり、どのように土壌に根を分布させるか、吸収能を最大限に高める要因とは何かを明らかにすることで、施肥の有効利用が向上することが期待されます。

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